『…行ってくる。』
聞き取れるか取れないか
わたしに伝えるつもりもないような小さな声で、
そう言って彼は去って行った。
薄紅色の灯りの下の閉じられし小さな空間で
彼の闘いはいつも長くなる。
そう、
赤と白の小さな球を
この世のものとは思えない異形の生物たちに投げつけては
捉えた異形たちを手なづけ己の手足とし、
炎や氷、果ては劇薬やシックスセンスの力を使い、
同じ旗を掲げた仲間たちと共に
違う旗を掲げる者たちと居場所や財産を奪い合う
そんな闘いと共に。
わたしは願う。
一刻も早く終わらせ欲しい
こんな無意味な闘いを。
わたしのお腹には
いや
わたしのお腹のもう少し下、
さらに後ろの方には
生み落とさなければならないものが存在しているから。
そのものが
わたしのお腹のもう少し下のさらに後ろの方を
勢いよくノックし続けているから。
ああどうか…
はや…く…
意訳:ポケ◯ンGO!やりながらトイレに居座る夫に殺意を抱く妻。
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